和布祭(わふさい)長引八王神社
長引に600年以上綿々と受け継がれてきたお祭りがあります。
3月5日の日曜日の午後、長引八王神社では、「和布祭」(わふさい)(別称・め祭り)というお祭りりがおこなわれました。八王神社をこの地にお祀りした頃から、その日に合わせ続けられているという例祭です。
神饌つまり神様へのお供えとして特別なものがあります。煮た荒布(あらめ)を巻き上げ、クルミ(大豆の煮豆をすりつぶしたもの)を塗りつけ、大きな浅桶に山のように盛り上げ、頂に榊を立てて供えられるという古式なものです。またお供えの米は、昔は米を蒸して作られたそうですが、固めに炊上げたごはんを、小さな円錐形に盛り、その四隅にも、とがった固まりを盛っています。
神事の後、隣接の社務所での直会(なおらい)にて、お下がりを神様と食事を共にしますが、まず、先ほどの大きな浅桶のお供えを、お参りされた区民それぞれに分けるため、クルミとあらめが混ぜ合わされ、握りこぶし大となって、他のお供え、米、餅、煮大豆、煮ごぼうなどとともに、各々持参の善に盛り分けられ始まりとなります。
和やかなうちに直会の時間が過ぎ、宴席の中締めとして、お祝いや感謝の気持ちを表して、小謡(こうたい)を肴に盃を差し上げるお肴謡が行われ、謡が謡われるなか、盃が順に回ってゆく。世代を超えた絆を感じさせる一時です。最後の「お伊勢まいり」の唄で皆の気持ちがひとつになってゆく。……人と人をつなぐ先人の伝統文化がここにも受け継がれています。
2017年3月5日